【ご挨拶】理事長中川原 章

理事長挨拶

理事長 中川原 章


NPO法人 小児がん・まごころ機構 設立の契機は、2011年に始まった内閣府 IT 戦略本部の「医療情報化促進事業」(「シームレスな地域連携医療」と「どこでも My 病院構想」の構築)の一環として、経済産業省主導の実証事業であった「小児がん長期ケア事業」(2011.4−2013.3)を実証したことに始まります。
当事業では、患者・家族の生活の質(QOL)を向上することを目的にICTを活用して、以下の実証事業を行いました。
* 患者が成人後も、患者・家族双方の地域を限定せず継続的に長期にフォローアップする仕組み作り
* 体だけでなく心もケアできる仕組み作り
* 小児がんの様々な課題解決に向けた、患者・家族・医療者・NPOが連携できる仕組み作り

これらの実証事業を継続するため、2013年9月、古川貞二郎を理事長として本機構を設立しました。
設立後は主に、小児がん拠点病院中央機関である国立成育医療研究センターの小児がん長期フォローアップへの取り組み支援を行い、さらに、日本小児血液・がん学会(JSPHO)、日本小児がん治療研究グループ(JCCG)、公益財団法人 がんの子どもを守る会(CCAJ)とも連携し、持続可能な小児がん長期フォローアップの仕組み作りを支援する活動等を行なって参りました。

そのような中、2018年8月、国際連合(国連)及び世界保健機関(WHO)において、がんの中で初めて、「小児がん」が地球規模で解決すべき重要な課題の一つとして取り上げられ、2018年11月に京都市で開催された第50回国際小児がん学会(会長:中川原 章)に於いて、「2030年までに、地球上の小児がんの治癒率を60%以上に上げる。」と宣言されました。この背景には、たまたま小児がんに罹った子どもたちは、同じ時に、同じ地球に生まれたにも関わらず、高所得国に生まれた場合には80%以上の確率で助かるのに対し、中〜低所得国に生まれた場合にはほとんど助からない(治癒率:10〜30%)という、許されない「不平等の存在」があります。

このWHO宣言を受け、本機構は、プロジェクトの成果をアジアへ発展させ、さらに、アジアでのWHO Global Initiative for Childhood Cancer (GICC) 宣言を、持続可能な成長目標(SDGs)として実現するために、アジアの小児がんの課題に取り組む団体(「アジア小児血液・がん治療研究グループ」及び「アジア小児がん学会」等)が円滑に連携し、活動していくための支援を積極的に行い、小児がんの子供達が、平等で高いレベルの医療を受けて治癒率が向上し、終生に渡って温かいケアを受けられる社会の構築を目指して、活動していくことと致しました。そして、現在では、日本に拠点を持ち、世界で苦しむ小児及びAYA世代のがん患者の治癒率向上と永続的な小児がん長期フォローアップの仕組み作りを通して小児がん経験者を支援する活動を行っています。

つきましては、本法人の趣旨をご理解のうえ、皆様の温かいご支援をいただきます様、切にお願い申し上げます。


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